日本財団 図書館


 

に空気は入ってしまいます。でもターミナルになると、少しは吐いても陰圧にならないから入らない。そういう状態を記載する。下顎呼吸とだけ記載するのは明治以来の表現です。みなさんはもっときめ細かく記載する必要があります。胸骨がどれくらいへっこむか、胸骨がくぼむのはやせたからで、陰圧になるからまだいい。それがくぼまなくなるというのは空気が入らないからで本当の末期の状態です。あと1時間、2時間で臨終というときです。
つまり、芝居の幕は最後のシーンが大切なのです。死のパフォーマンスもナースが中心となって、どのように最後の仕上げをするかということです。そういうバイタルサインが出たときには、あと半日はどうでしょうか、ぜひお側にいてくださいと言う。早く呼びすぎるほうが遅くなるよりははるかにいい。それが看護に経験があったりすると、まだ大丈夫だと言いたがる傾向がありますね。そして最後は、愛する人という立場に立って、苦しくないようにもっていかなければならない。
ナースはバイタルサインの見方がまだよくわかっていない。脈を見るときになぜ最初から両方を見ないのですか。血圧も片腕だけで測り、記録にも右とか左とか書いていない。最低血圧が記載されていてもあてにならないことが多い。それは圧の落とし方が早いからです。だから5〜10mHgは変わってくる。血管音が40,30,20になっているのに、血圧値は60?Hgで切れている。それはサッと早く空気を抜くからです。最高だけ測って、サッと落としてうっ血をとって、最低と思われるところよりも少し高いところでできるだけゆっくり圧を下げていく。うっ血すると血管音が聞こえません。
甲状腺の病気を診断するのは80%は脈だけでできます。最低血圧が低いからです。胸に聴診器を当ててちょっと押すと、ザッ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION